ISO認証取得奮闘記(NO.1)
*プロローグ
(有)国際規格マネジメント
代表取締役 井内 修
1.会社名:株式会社 ひんしつ(仮名)
2.業種:産業用自動制御用ユニット・その他制御装置設計・製作
3.戸田市商工会会員
2003年11月6日社長にお会いした。スピード経営を目指すとの方針どおり、決断の早い人物だった。最初のうちは私を値踏みしているようだったが、ISOの取得は同時に業務改革になること、なる方法で行う事、基本はQCと5Sである旨説明したところ、見積、契約、実施期間を矢継ぎ早に決められた。早速、ISO取得に際し以下を決定する。
- 認証取得規格はISO品質版(ISO9001)
- キックオフの日時は2003年11月14日午後2時
- 認証取得時期は2004年6月中
- 年間スケジュール(下記)
SO90018認証取得年間スケジュール
2003年 | 11月 | キックオフ |
---|---|---|
12月 | ISO9001研修開始 | |
2004年 | 1月 | マニュアル、規定集等の文化 審査機関による文書チェック |
2月 | 内部監査員養成研修 品質マネジメントシステム実施 |
|
3月 | 自社による内部監査実施 | |
4月 | 経営者による見直し 予備審査 |
|
5月 | 自社による内部監査実施 | |
6月 | 本審査、登録 |
以上の打ち合せを終え、正式に11月14日認証取得をスタートさせるお約束をして退席する。
*第1回推進会議(2003年11月14日)
キックオフ当日は少し早めに訪問して社長とお会いし、事前に推進会議の進め方等の打ち合わせをする。ISO取得を成功させるためには推進会議のメンバー人選がとても大事である。事前にそれはしつこくさせていただいたので、心配は無いはずである。
いよいよ社長によるキックオフ宣言が行われ、ISO品質版(ISO9001)の研修に入った。
(1) 社長のキックオフ宣言
・ISO取得の目的は、わが社があらゆる顧客の要求に応えられるよう、もっと強固なシステム構築をすることである。そのためにISO品質版(ISO9001)を2004年6月にとることにした。
推進メンバーは各部門からの代表者5名(各部門代表者)とした。
・品質方針は次のようにする。
- 環境(ecology)と経済(economic)の調和を目的として、ものづくりの分野において自社の積極的な製造技術の向上を持って地域社会の発展の為に貢献する。
- 社会貢献の為には顧客要求事項を満たすことを最大の使命と捉え、品質方針を持って品質改善に努め、顧客満足度の向上に努める。
- 品質方針達成のために品質目標を設定し、継続して適切であるように管理、見直しを行い、全社員が一丸となって品質マネジメントシステムを推進する。
ISOの内容についての質疑応答
Q:どんな測定機器(検査器機)を使用しているか?その校正は?
A:測定機器と校正について説明。
Q:お客様からの評価はどのように扱っているか?
A:営業担当が訪問の際お客様から聞いてくる。
Q:不良品の処理の仕方はどのように実施しているか?
A:担当者が責任を持って処理している。
Q:是正または予防をどのように実施しているか?
A:毎日のミーティングで検討している。
Q:以上を質疑応答しながらISOの解説を行ったか?
A:毎日のミーティングで検討施している
以上を質疑応答しながらISOの開設を行った。
テキストの例題をやるより、実態に即しているので身に付くであろう。
品質版の総論【重要】
3回に分けて規格の解説をしてきたがISO品質版の全体像は以下のようになっている。
これは見てわかるとおり、ISOに限らず、一般の業務改善のプロセスと同じであり、ISOが社内を改善する
という私の持論の根拠でもある。
規格の解説を終了し、規格が要求している品質マニュアルの作成に取り掛かった。
(2)マニュアルの作成
第4章:マニュアル、文書、記録の取り扱い
当初、私の考えでは社長はかなりこだわりをお持ちの方であると思われた。マニアルも他社では見られないフロー図を主体に作成しようと考えておられた。
しかし、既存の作業指示書(手順書)類がほとんどフロー図で作成されていたので、バランスを考えた結果、マニュアルはその作業指示書をどこで使用すれば効果的かを文章で参照する内容にした。
つまり、車で言えばナビゲーターみたいなものである。企業の現場で使用している作業指示書を、どこで誰がどのように使用するかを明確にすることによって不良品を軽減し、顧客満足を勝ち取ることができる。
つまり「マニアルはそれぞれの指示書の最上位に位置するガイドである」と考えた。
実際の作成は...
ISO品質版の規格は「・・・・すること」と書かれているので、マニュアルは「・・・・します。具体的な作業手順は○○指示書に記載されている」と規格の要求している文書の裏返しで作成すればマニュアルが手早く完成するが、それはあくまでも「ISOのためのISO」的である。企業がそのマニュアルを最大限に利用できなくては意味がないから、自社で使っている言葉で作ろう。いままで、口頭で指示、説明していたものを文章にするだけの事である。
早速、推進委員全員の意見を反映しながら3分の1の4章まで作成できた。
*第4回推進会議(2003年12月22日)
第5章:品質方針の作成、品質目標の作成、責任と権限の明確化
「社長が作成しなくてはならない品質方針の扱い方はどのようにするのですか」との質問への回答。
社長のサインが記載されたものをマニュアルのトップページに持ってきて、同じものを各事業所に掲載されることをお勧めする。
第6章:教育・訓練、作業環境
当社で行っている実態をそのまま記載するが、若干ISO規格に合わせる。
第7章:受注
契約を締結する際に必要な内容確認の仕方は現状ではどのように実施しているのか営業担当者から聞き、実際に行っている処理方法をマニュアルに記載する。ISOの要求に不足しているものはISO規格に合わせて補充する。こうする事により、現場の抵抗も少なく、足りないものを補いつつISO規格を実現できる。
少々スケジュール的にきつくなってきた。時間を挽回しなくては・・・・。スケジュールが遅れるとお客様の迷惑になるだけでなく、当社の採算も悪くなってしまう。
つづく