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戸田市工業振興総合調査事業
報告書
平成8年度
戸田市開発部商工振興課
はじめに
戸田市は荒川を境に東京都と接しており、首都圏の産業需要をまかなう重要な工業の街と位置づけされてきた。東京外環自動車道や埼京線などの交通網が整備されるに従って、急速に住宅地へと変化しようとしている。しかし、戸田市の立地は工業者にとっては魅力的である。この立地を生かすことができる工業は、戸田市の産業として育成する必要があるのではないだろうか。首都圏の一つの都市ではあるが、消費と生産のバランスを保ち自立できることが、都市としての最終目的になるのではないだろうか。
本事業では戸田市内の工業者にアンケート調査とヒアリング調査を実施し、バブル崩壊後の製造業の状況を客観的に把握することに重点をおいた。そして、戸田市の立地を生かす工業振興のあり方を検討することに努めた。本報告書が戸田市の基本構想と融合し、戸田市の都市としての発展に少しでも寄与できれば幸いである。
平成9年3月
実 施 機 関 戸田市開発部商工振興課
協 力 機 関 戸田市商工会
調査委託機関 (株)日本プランニングアート
(1) 首都圏一円を網羅する工業立地
(2) 増え続ける人口と世帯
(1) 統計が示す工業の概要
(2) アンケート調査結果が示す工業の実態
(3) 戸田市工業の総括
(1) 戸田市の基本構想
(2) 工業振興の基本方針
(1) 首都圏立地を生かす地場産業づくり
(2) 実態を常に把握するための巡回診断等
(3) 新技術等の研究会開催
(4) 従業員教育
(5) 情報化セミナーの開催
(6) 海外投資セミナーの開催
(7) 製造業と流通業の異業種交流
<資料>
2.ヒアリング企業名簿
3.神戸市の資料
1.戸田市工業の立地環境
戸田市は住宅都市化の傾向を示しているが、地理上の位置からは首都圏における都市型製造業の集積になりうる要素を持っている。本章では戸田市の工業を再評価する立場で、工業立地を検討する。
(1) 首都圏一円を網羅する工業立地
@ 関東一円を活動の場とできる絶好の立地
図1は戸田市を中心に半径約15qの円を描いたものである。北は上尾市・南は新宿、東は八潮市・西は所沢市がこの円にとどいている。車を使って一時間で確実に行ける距離と考えて良い。更に、図1で分かることは、高速道路網の起点となっていることである。外環状道路が市内の美女木にインターチェンジを持っている。外環状道路を経由し、関越道・東北道・常磐道を、都内の混雑とはほぼ関係なく利用できるのである。一時間で戸田市から行ける距離は関東一円に達することが分かる。関東首都圏の都市型産業需要を賄うには、戸田市は最適な地理上の位置づけを確保したのである。
図1 戸田市の15q商圏

A 交通の便利さは最大の満足要因
今回実施したヒアリング調査で、市内の事業所から必ず出る言葉は「戸田市は便利だ」である。前項でも説明したように、高速道路網の整備によって関東一円の商圏を手に入れたのである。この様子がアンケート調査にも現れている。戸田市工業立地の満足状況を示している図2では、「大変満足」と「満足」を合わせると約40%という結果になっている。「大変不満」と「不満」を合わせると45%に達するため若干不満が優先するが、その要因は次項で説明する。図3によると「幹線道路の便がいい」が50%を越え1番のメリットとされている。2番目には「東京に近い」が回答されており約40%の数字となっている。「受注先に近い」「鉄道の駅に近い」の回答がその後に続いているが、回答率は30%に達していない。車を利用して東京を中心に首都圏一円を動き回る戸田市工業の姿がここにも確認できる。
B 住宅が迫ってくることが脅威


(2) 増え続ける人口と世帯
@ 10年間で都市化

住宅地としての発展を図5と図6が表している。図では1995年までしか示されていないが1989年には約8万人の人口が、現在10万人を越えている。世帯数では約1万世帯がこの10年間に増加している。注目すべきは世帯の人数である。10年前の2.9人が現在では2.5人に減少している。明らかに核家族の増加である。現在でも埼京線の各駅を中心に集合住宅の建設が進んでいる。都心から30分以内の住宅地で比較的安いことが魅力になっているようである。住民の増加は今後とも続くことが予想される。
A 再び進むベッドタウン化傾向
図7には夜間人口と昼間人口の推移が示されている。1970年には夜間人口が約7万人、昼間人口が約6万5千人で夜間人口が昼間人口を約5千人上回り、完全にベッドタウンの状況であったことが分かる。1980年には昼間人口が夜間人口を上回り、戸田市の産業化が進んだことが分かる。そして、問題は1990年以降である。統計データが整備されていないので断言はできないが、再び夜間人口が昼間人口を上回る時代が来そうな状況である。1985年をピークに夜間と昼間の人口格差が減少しているのである。埼京線沿線を中心にマンション等集合住宅の建設が進められている。東京に近い住宅立地として、川口市と並び戸田市も評価されているようである。製造業にとって脅威である「住宅との隣接」は図7の数字でも裏付けられそうである。

