経営と開業の事例 #22 戸 田市商工会トップメニューに戻る
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知識データベース(POMシステム)導入事例
  現在、このシステムは全国稼動をとりやめています
今回の経営事例は、ある商工会議所が中心になって作り上げた「知識データベースシステム」の話である。「知識データベース」とは、たとえば、企業の社員が仕事上のコツや成功例・失敗例などをコンピュータに文書のデータとして登録し、それを自分以外の社員にも見てもらい、仕事の参考にする、というものだ。

 データベースに登録した文書は、表題や本文の中の単語で検索することができる。たとえば、「A商品を説明する際に受けやすい誤解」という表題をつけた文書を検索したいなら「A商品」で検索してもよいし、「誤解」で検索しても見つけることができる。「B商品をお客様に勧める際に決め手となるポイント」という文書なら、「B商品」「決め手」「ポイント」のどれかで見つかる、という具合だ。社員数が少なくて毎日隣に座って仕事をしているなら別だが、中小企業と言えど普通は営業・製造・管理という具合に役割分担されているし、営業にしてもAさんはA地区のお客さん担当、B君はB地区のお客さん担当、という具合に何らかの分担があるだろう。分担があれば、「自分しか知らないこと」があっても不思議ではない。今までは「自分の経験は自分のもの」という考えが中心だったかも知れないが、これからは「社内では、自分の経験も、他人の経験もみんなのもの」に変えて、企業として強くなった方が有利ですよ、というのがこういう知識データベースの売り文句だ。進んでいる企業では、他人に役立つデータを提供した社員は評価を上げる、という形で活用を促進している。

 こういう知識データベースを使わなくても、飲み屋で情報交換しているから十分、という考え方もあるし、情報の共有化のための方法はいろいろ考えられる。しかし、コンピュータを使えば、1.記録され、検索しやすいので記録した本人がいなくなっても役立つ。2.登録されたデータを集計すれば社員の評価の資料にも使える。3.同じく集計すればお客さんや商品の分析に使える。4.ネットワークのおかげで職場が離れていても使える。というメリットがあり、パソコンやソフトの価格がどんどん下がって来ているため、将来は手軽に使えるようになる可能性もある。

 中小企業の多くは、明日より今日のことで手一杯、という状態だと思われるが、とりあえず、「情報の共有化」も社内のテーマのひとつにあげて、成功した社員をほめるのはもちろんのこと、「どうやって成功させたのか、自慢話をしてくれ」とすすめ、失敗例についても「記録し、次回に生かせるようにすれば失敗も財産だ」という風土づくりをしては如何だろう。

 ところで、ある企業の知識データベースの事例でなくて、ある商工会議所の事例をご紹介するのは、筆者の身近な中小企業に導入の事例が今のところ無くて、大手企業にたのんで取材するよりも中小企業との接点のある商工会議所の事例の方が当ホームページの趣旨に合うと考えたからである。

商工会議所では、会員から「資金繰りが苦しいから融資を受けたい」と依頼を受けた時、「融資だけでは足りない。経営の相談が必要だ」というケースは、しょっちゅう経験する。

しかし、多くの商工会議所・商工会の経営指導員はそういう会員すべてに十分な経営相談が出来かねているのが実情だろう。残念ながら、会員事務、部会運営、地域振興などの事業と、相談企業の状況・緊急性との兼ね合いをはかりながら、できる範囲で経営相談をしているはずだ。

しかも、相談を担当する経営指導員のレベルには格差があり、経営コンサルタント顔負けの「経営戦略」を書き上げたり、銀行との交渉ノウハウがあって資金繰り相談はまかせろ、というベテランもいるだろう。しかし、ベテランと言えど得意・不得意があるし、あらゆる分野にすべて精通している指導員はいないはずだ。また、新人で融資・税務指導だけしか出来ない者もいるだろう。

新人の経営指導員は先輩にいつでもノウハウを教えてもらえるわけではない。自分一人で困難な問題の解決に当たらねばならないときもある。

20数年前、広島県の某商工会議所のある若手経営指導員もこれと同じ状況にあった

相談企業に対し、彼の「持ち駒」は制度資金の利用ノウハウだけだった。県の経営診断では間に合わないほど事態は切迫していた。彼は全力で相談し、制度融資の申込指導を行った。

しかし、融資審査の結果は否決、その時点で彼の持ち駒はゼロ、ゲームセットである。経営について的確なアドバイスをする力はなかったし、それのできる者を探して紹介することもできなかった。その相談企業の経営は行き詰まって、本人は自殺未遂を図り、その後行方不明。この事件は彼に大きな衝撃を与えた。当時の先輩たちは、「やるだけやったんだからしかたがない」と言ったが、彼は「融資相談だけでなく、もっと経営の根幹に踏み込んだ指導を出来なかったのか、するべきであった。しかし自分にできるだろうか」「相談に来る人の命や人生に大きな影響を及ぼす仕事をしている、経営指導員はそこまで大切な仕事をしているという自覚があっただろうか」と自問した。

当時は、今では県単位でやっている「経営安定特別相談」も「エキスパート派遣事業」も無かった。今ならそれらの制度が利用できる。しかし、すぐに間に合わないという問題はあるし、そもそも「経営指導員なら、このくらいはできるはずだ」という考え方もある。また中小企業施策に方向によっては、予算の削減や事業廃止だってあり得る。

 実にこの経営指導員の現場体験が原点となって企画され、実現をみているのが、「POMシステム」と呼ばれる知識データベースシステムである。現在、日本商工会議所・全国商工会連合会の手により全国の商工会議所・商工会に普及を進めている状況だ。

 知識データベースシステムに限らず、新しい仕組みを企業に導入するのは大変なことである。企業も商工会議所も組織という点では共通点がある。従って商工会議所の導入例も企業に参考になる要素が多い。そこで、このレポートでは、現場の指導員の危機意識からスタートした構想が全国をカバーするPOMシステムとして実を結ぶことが出来た、その過程と、知識データベースの一例としてPOMとはどういうものなのか、これらについてご紹介したい。

 今から7年くらい前、その商工会議所では、経営指導員のグループから、コンピュータを使って経営カルテを利用したいという提案が内部で議論されていた。経営カルテとは、商工会議所が企業と相談した内容を記録しておく台帳である。昔、新人経営指導員として経営指導の力不足を痛感していた彼は、商工会議所の専務理事になっていた。なお、彼が若手の頃は会員数500ちょっと、財務的には赤字ぎりぎりだったものが、今では会員数約2100,財政は毎年の剰余金数千万という状況に発展していた。しかも他の多くの地域と同様、人口減少という環境の中で、である。財政的な効果は、研修会・講習会参加費、手数料収入などで努力した結果であった。

 彼は「コンピュータ利用経営カルテ」の案になかなか首をタテにふらなかった。提案では、経営カルテを単に「相談ノルマの集計報告」にしか使えないからだ。

 そもそも「経営カルテとはどうあるべきか」を考えれば、それは相談企業の「ニーズ把握・戦略的統計処理」「相談履歴参照」、「経営指導員同士の相談ノウハウ共有化」に使って、経営指導のレベルアップを図るべきものである。

 商工会議所に相談に来る企業は経営上の計画・課題・問題といった形で「情報」を持って来てくれる。企業が何をしてほしいか、これがニーズである。これをコンピュータに記録して蓄積すれば「ニーズ把握」のためのデータ収集が可能である。

 また、コンピュータ内にデータが蓄積されていれば、それを分析してどのような相談が多いのかを把握し、相談の多い分野の準備・対策を強化する、ノウハウを集める、商工会議所の事業に反映する、というのが「ニーズ把握・戦略的統計処理」である。

 「相談履歴の参照」があれば、ある企業が商工会議所に来て経営指導員と相談した場合、次の日に続きの相談に来たら前の指導員が不在のため最初から話をやり直しになった、というような事を避ける事ができる。前回、何をどの指導員が相談したか。そのときの指導員の回答・指導内容はどうだったか。これらを記録し、次に相談するときに役立てる事が出来る。

「経営指導員のノウハウ共有化」とは、今、直面している問題と同種の問題の解決例が過去の記録にあれば、それを参照して役立てる、というものである。これがあれば、同種の問題を解決するのに最初から調べる手間を減らすことが出来る。

 これらは、パソコン用データベースが一般化してきた以上、比較的簡単に実現できるはずである。どうせならネットワーク機能を使って、全国の商工会議所・商工会とノウハウの共有化を図れるシステムにしたらどうだ、という仕様まで構想した上で、調査に取りかかった。

 いろいろな既存システムを調べてみた結果、当時のレベルでは10日間かかった手間を10分でできる、という単純な効率化が主目的のものが多く、「知識データベース」に使えるものは見つからなかった。

 それでは、独自にそのようなコンピュータ・プログラムを作ることを考えたが、その場合は最低500万〜数千万かかるというので、全額自己財源で用意するのはとても無理。ならば近隣の商工会議所と共同開発しようかと持ちかけたが、これも足並みがそろわずに不首尾となってしまった。

 最後の手段として補助金を使えないだろうかと考えたが、1商工会議所の事業に対しての補助金はいろいろあるものの、全国の商工会議所・商工会にかかる構想に対しての補助金というものはなかった。

 ここでまた、彼の構想は「打つ手無し」の状況に陥ってしまった。しかし今まで「目前の課題に全力で取り組んでいた」彼の行動が、知らない内にこの構想を実現するための下準備となっていたのだ。

 平成10年7月、中国通商産業局(当時)の課長補佐より「先進的情報システム開発実証事業という有利な補助制度がある。名乗りを上げないか」との勧めがあった。この構想が補助制度に該当するかどうか慎重に検討していたところ、今度は中国通商産業局の参事官から改めて熱心に勧奨が来た。いままでの彼の「売り込み」に対しての応援と言えるものだった。

 勧められた補助金についていろいろ下調べをしたところ、やり方によっては「POMシステム」が補助の対象になると確認できた。補助制度の性質上、申請者は会議所ではなく、民間のソフト開発会社が望ましい。そこで(株)アクトシステムズ(広島県情報産業協会会長の会社)と交渉し、POMシステムによる補助申請について合意した。

 しかし、「POMシステム」の審査上の前評判は必ずしも芳しくなかった。中国通産局管内での下馬評では「POMは上から14〜15番目くらい。採用されるのはせいぜい3つまで。とても無理だ」というものであった。しかし、ここで力を発揮したのが日本商工会議所の後押しであった。特別強力な縁故関係があったわけではない。平成9年に 「今後の経営改善普及事業のあり方」というテーマで日本商工会議所(日商)が小委員会を設け、検討をおこなったとき、たまたま委員として参加していた彼がPOMシステムの元になる構想を提案していたのだ。

 その委員会の報告書には「企業の相談ニーズおよび経営指導員のノウハウをパソコン・ネットワークで共用して、経営指導員が誰でも一定のレベルの経営指導を出来るようにするという仕組み」の提案が載せられた。

 これは正式な報告書であったので、日商としては、「正式な報告書の提案と同じ内容の計画が地方の商工会議所から出てきました、これは応援すべきである」という事になったわけである。

 日商の後押しが効いた、それだけが理由とは思われない。いろいろなルートで陳情したり、「POMシステム」採用への働きかけに奔走した。しかし、基本的には「POMシステム」の考え方自体が時代の要求に適していたのだと思われる。(財)日本情報処理開発協会の審査会ではPOMシステムの評価は高かった。「POMとやらは、東京で評価されているらしい。」という話が伝わると、今度は中国通商産業局・広島県商工会議所連合会を中心とする地元が本気になってくれた。

 そして平成10年10月8日、「POMシステム」は予算額を40%に削減されたとはいえ、9000万の補助が決定した。

 POMシステムは先進的情報システム開発実証事業として決定されたが、予算が当初計画の40%に削減されたため、規模の縮小が必要になった。しかし、「経営指導員のノウハウ共有化等」は譲れない。核となる部分だからである。しかし、POMのサブシステムとして計画していた会議所業務代行、就業支援、教育研修支援、一般企業への公開部分等をメニューから除いて開発費を削減する事で各方面の合意を取り付けた。

 その後、中小企業庁から「POMシステムは商工会にも利用を促す。そのつもりで開発してほしい。」との指示があった。つまり、完成後は日本全国の経営指導員に使ってもらうという考えに対し、中小企業庁の賛同・指導を得られるという形になったわけだ。

 日商からは「全面的に協力する。開発を担当するプロジェクト委員会へも参加したい。」との申し出があった。日商が協力してくれれば、全国の経営指導員が可能な状態へ大きく近づくだろう。

 広島県商工会議所連合会ではPOMシステム開発プロジェクト会議を相談所長クラスで設置することを確認した。全国で使うことが最終目標だが、そのためには、実際に使える、使いやすいものでなければならない。そのためには、実際に現場の指導員が使ってみて、その結果を開発にフィードバックするのが一番だ。広島県内で先行して利用し、使いやすいものに仕上げてから全国に公開するのが望ましい。そのための協力体制が出来つつあった。

 こうして、

POMシステムはようやく開発がはじまった。ちょうど、インターネットが急速に普及し、IT化が大きく取り上げられる時代になっていた。全国の経営指導員にパソコンが配備され、中小企業庁は「これからのIT時代に中小企業が生き残るには中小企業もITを取り入れなければならない。それを支援する経営指導員がITは出来ない等と言ったら、経営指導員の資格がない」というくらい、IT、IT、IT!の時代が始まっていた。

 平成11年5月、POMシステム本体が完成し、「POMシステム構築支援連絡会議」の場でデモが行われた。さらに、平成11年12月、POMシステムが全国的に運営開始され、インターネットを使える全商工会議所・商工会よりアクセス可能となった。

 完成したPOMシステムは、インターネットにつながるパソコンさえあれば特別なソフト・ハード無しに利用できるものになった。インターネットエクスプローラやネットスケープから操作し、相談事例データ・回答集(POMではマーケティング・マニュアルと呼んでいる)の検索・参照、相談事例の登録、相談事例データ・回答集へのリクエストなどが簡単に出来るようになっていた。

 何も新しいソフトを導入する必要はない。必要なのはIDとパスワードだけ。料金は通信料金の他は定額で1商工会議所・商工会あたり年間10000円程度。通信料金の他はいくら利用してもそれだけだ。

 POMシステムのうち、「経営指導員のノウハウ共有化等」にしぼって機能を紹介しよう。

「経営指導員のノウハウ共有化等」については、POMのサブシステムである、MMシステムとKKシステムでそれを実現している。

 MMシステムはインターネットを介して、相談事例を参照・登録できるものだ。経営指導員は自分のパソコンからセンターのデータベースにアクセスし、登録されている相談事例、相談例への回答集を見ることが出来る。また、自分の行った相談のうち、他の参考になると思われる事例をデータベースに登録することができる。登録された事例は全国の経営指導員が利用できる。どうやって参考となる相談事例を探すかは、キーワード検索で簡単に出来る。つまり、資金繰り相談の事例が見たければ、「相談項目検索」または「全文検索」で「資金繰り」と入力し検索ボタンを押すだけである。

 KKシステムは会員管理業務と、経営カルテ業務を行うシステムである。商工会議所・商工会のパソコン又はNTサーバにインストールして利用する。

 これは通常の経営カルテの機能に加え、POMとの連動ができる。つまり、経営カルテの画面からMMのデータを呼び出し、参照することができる。さらに、どのような相談を行ったかという統計データをMMに自動的に送る(*)ようになっているので、MMの「戦略的統計処理」のデータは常に自動的に更新されることになる。

 この「戦略的統計処理」のデータも全国の経営指導員が利用可能である。POMシステムのメニューから「統計処理」を選べば、全国、関東、東京都といった地区カテゴリー、過去のデータすべて、最近1年間、半年、といった対象期間カテゴリー別に相談件数の統計をみることができる。現在、一番多い相談は「税務・確定申告」だし、次に多いのは「サラ金対策」であった。

(*)相談内容自体は意図的に登録しなければ送付されない。統計的データとは、確定申告相談が何件、融資斡旋相談が何件、経営計画作成の相談が何件といった、プライバシーにかかわらない内容である。

 企業の方へ

 以上が、POMの開発経過と機能の概要である。企業が知識データベースを導入しようと考える場合、もしくはその考え方を取り入れて業務をしようという場合、「相談」を販売、「相談相手」をお客様と考えれば、参考になる点があると思う。POMシステムは将来的には一般企業にも閲覧できるようにする構想もあるが、今のところは商工会議所・商工会を中心とした利用に限られている。ご了解下さい。

 また、この商工会議所がどこにあるのかは、POMの趣旨が「経営指導のスーパースター」を作ることではなく、「誰でも(経験の浅い者でも)一定のレベルの相談が出来るための道具」という位置づけから、自分の名前を表に出すのは控えたいということで、公開しておりません。しかし、どうしても知りたい方は

miyauchi@toda.or.jpまで、ご連絡下さい。

商工会・商工会議所の方へ

 全国連・日商の主催するある委員会の冒頭、挨拶にたった委員会座長(某商工会議所専務)は「この委員会の最終目的は、我々商工会議所・商工会が会員や小規模企業のニーズを把握し、本当に役立つ相談や指導を行って地域が発展すること、そのための事業を継続すること、それらを通じて我々も生き残れること、そのためにPOMや日経テレコンなどのシステムをいかに道具として使っていくかを検討することだと思っております」と述べた。

 この挨拶を聞いて思ったのは、単に企業に役立つ相談・指導を行いましょう、と言うだけなら、本来、あたりまえの事である。また、商工会議所・商工会の生き残りだけを言うならば、自分たちの生き残り・組織防衛の話になってしまう。

 まず本来の目的である、企業の役に立つ事業を行った上で組織体の存在価値を改めて現実のものとする。そして、それをもって生き残りをはかるという議論が、POMやテレコンの技術や普及度の話、支援というレベルの話に先行して出て来たところがすばらしいと思った。ごく簡単に言えば、「この委員会の目的は商工会議所(商工会)の目的そのものです」という趣旨であった。本当はこれも当たり前のことである。

 あたりまえ、と言えば、経営相談で得たノウハウは、自分一人で持っていた方が良いのか、同僚やよその商工会・会議所と情報交換して共有した方が良いのか?

 ノウハウは自分一人で保持して、他者と共有しない、という立場をとる場合、ギブ・アンドテイクを原則として考えれば、人に与えない以上人からも得られない。つまり他人に教えてもらう事はできない、という事になる。これは、誰が考えてもそうだ。結論として、ノウハウは共有した方が良い。そして、POMシステムは共有のための道具である。だったら、POMを拒否する理由は無いはずだ。

 平成12年11月からPOMは全国の商工会議所・商工会で使えるようになった。企画を進めた広島県の某商工会議所では実際に使っている。そこで当初のきっかけとなっていた経営カルテのコンピュータ化、経営指導員のノウハウ共有化等は実現したわけである。

 しかし、商工会議所・商工会全体を考えた場合、中小企業基本法の改正とそれに伴ういろいろな動きの中、存在意義を問われ、補助金予算の削減に直面し、それぞれが生き残りをはかって行かねばならないのが実情であろう。

 そのためには経営相談だけでなく、様々な業務も地域の特性に応じて実施しなければならない。また経営相談も、ただ行うのでなく、経営相談という事業を商工会議所・商工会の存在意義に結びつけて生き残りをはかり、今後も継続して企業に対する経営相談を続けていける体制を取らねばならない。POMシステムはそのための有効な道具である。また、「現場の指導員の発想からスタートし、地方の1商工会議所が直接開発に関わった全国的システム」であるという点で、非常に使いやすいシステムに仕上がっている。

 つまり、地方の1商工会議所では現場を熟知している。これは県連合会や、日商・全国連などにどうしても不足している点である。しかし、通常は1商工会議所では、自分の現場ノウハウを全国的なシステムに発展・結実させる力はもっていないので、「現場で使えて、全国で使える」システムはなかなか開発できないのが実情である。そういう意味でPOMシステムは数少ない例外と言えるだろう。

 しかしながら、POMを全国の商工会議所・商工会で利用してもらうには、いくつか問題がある。商工会議所・商工会ともに基本的には1商工会・1会議所が独立した法人であるため、日商あるいは全国連の号令で1糸乱れずに行動するというピラミッド組織ではない。事情を知らない多くの商工会議所・商工会にとって、POMシステムは「また新しいノルマが増えたのか?しかも料金を払えとは、どういうことだ?」という受け止め方をされる可能性が無いとは言えない。しかし、経過は事例としてご紹介したとおり、ノルマを増やそうとか、仕事を増やそうという趣旨ではない。あたりまえのことをやりやすくするための道具を提供しようという趣旨である。POMシステムのテーマは、広島県の某商工会議所が着手しなければ、日本のどこかの商工会議所・商工会が着手していたであろうテーマである。いや、既に単独でPOMと同じような機能を持つ経営カルテを実現している商工会議所・商工会もあることだろう。

 その努力は貴重なもので、高く評価されるべきものだ。そういう商工会議所・商工会はぜひそれをPOMと併用していただきたい。(事例をコピー&ペーストすれば)また、そのような商工会議所・商工会においてもハードやOSの進歩に伴い、自主開発した経営カルテ等のバージョンアップが必要になるだろう。その時期になったらKKシステムの採用を選択肢の一つに入れていただきたい。経営カルテを1商工会議所・商工会単独で開発し続けるのは効率的ではない。POMシステムはおそらく、そういうあなた(前向きな商工会・商工会議所の誰か)が開発しようとしたものと非常に近いシステムである。極論すれば、POMシステムは、商工会・会議所の機能強化を図ろうとしている、前向きな「あなた」が開発したシステムだと思っていただきたい。

 つまりこのレポートの結論は商工会議所・商工会を生かし、POMを生かすのはあなた自身である。ということになりました。(平成14年1月)


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