経営と開業の事例 #20 戸 田市商工会トップメニューに戻る
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経営戦略その3 商店街生き残り戦略


一般商店で構成される商店街は今、苦境に立たされている。統計的にも不振と答える商店街が大多数である。

 大店法が廃止され、大型店と直接競争せざるを得なくなった上、コンビニがハイテク化を押し進め、非常に生活に密着した業態になってしまった。これらは商店街の一般商店にとって手強い競争相手である。今や、商店街の存在意義が問われていると言って良いだろう。

 とはいえ、商店街や一般商店の生き残り策はいくつか選択肢があるだろう。今回の経営者(商店街振興組合理事長)は、商店街の存在意義を真剣に考えつつ、生き残り策を追求している。


概要

 戸田市にあるさつき通り商店街振興組合(以下、さつき通り商店街)。ここには空き缶・ペットボトル回収機を備えた商店街サロンがある。
 これはエコ・ステーションと呼ばれ、2000年7月8日に常設オープンした。

 空き缶・ペットボトル回収機とは、清涼飲料の自販機くらいの大きさで、そこに空き缶やペットボトルを投入すると自動的に圧縮・保管して、再利用を容易にしようとするものである。これにより、回収・再利用が促進できる。

 これは、東京新宿・早稲田商店会との交流を通じて研究・実験を重ね、戸田市などの支援を得て、実現にこぎ着けたものである。

 この効果で、商店街周辺には空き缶・ペットボトルのゴミは見られなくなった。もし、空き缶が道に捨てられていたら、子供たちが拾い集め、エコ・ステーションに持ってくるからである。

 このエコ・ステーションは単にゴミ減量・資源リサイクルだけを目的にしたものではない。

 空き缶を回収機に投入すると、画面に野球やサッカーのアニメが表示され、一定の頻度でホームランまたはゴール!が表示される。これが「当たり」であり、チケットが発行される。チケットはどういうものかというと、さつき通りの○○商店の××が1割引になる券、××商店で粗品と引換できる券、△食堂でジュースが飲める券などである。

 従って、近所の人は喜んで空き缶を持ってエコステーションを訪れ、当たりが出ればそのチケットを持って該当する商店を訪ねるのである。利用者にとっては資源ゴミの回収日まで待たずに空き缶・ペットボトルを処分できるというメリットもある。

 お客さんに便利で喜んでいただける、商店街には人に来ていただける、PR・販売促進になり、ゴミや資源の問題にも貢献できる、1石3鳥以上の効果である。

 この方式も早稲田商店会で既にやっていたことである。要するに、ゴミ減量と資源リサイクル、景品チケットによる顧客サービス、お客様にエコステーションや当たりの該当商店に足を運んでいただく販売促進効果、それらを通じての商店街イメージアップを目指している。

 エコ・ステーションの効果はそれだけにはとどまらない。まず、広告スペースとしての機能がある。売り出しの案内や各店の案内を掲示できる。商店街の理念である、「人と人、心と心のふれあいを大切にする」を一目瞭然で表明できる。

サロン機能を生かして勉強会も出来る。

 変化する時代に対応して、商店経営者も意識改革をしなければならないが、言うは易く、行うは難しい。しかし、さつき通り商店街では、エコ・ステーションを材料・ネタ・場所としていろいろな活動が出来る。そういう活動を通じて意識改革が仕掛けることが可能になる。

 これは、ナイトバザールで有名な秩父の商店会長安田氏が、「ナイトバザールの目的は、ナイトバザール自体ではなく、それを実行することによって、参加する商店経営者の意識改革(顧客志向・自分の経営向上・まちづくり・環境問題)を図ることだ」という趣旨のことを言っているのと同じである。

 エコ・ステーションの可能性を最大に発揮できるのは、やはり環境問題に対するときだろう。

 環境問題に対するにはリサイクルが重要であるが、一般にリサイクルは物流コストが高くなる−往復必要なので2倍以上になる−ため、企業にとっても行政にとっても負担が増える。単純にコスト増を見込めばその分税金や製品価格が上がる計算になってしまう。

 しかし、消費者である住民が、買い物をするときに使用済み資源を持ち寄り、買い物の場で回収できれば物流コストの一部・それもかなりの部分が削減できる。

 これはすでに大型店が発泡スチロールや牛乳パックの回収で実施していることでもあるが、お客さんに足を運んでいただきたいと願う気持ちでは大型店に負けない商店街でも実施できるようになれば、これに越したことはない。

 商店街は基本的に人に来ていただきたい場所、人が集まることを歓迎する場所である。 だから、商店街をそういう活用方法で生かすというのは、やり方を間違えなければ、住民・商店街・環境行政のいずれにもプラスになる事である。

 さらに、商店街の個店は元々量り売りや単品販売が中心であり、過剰包装やプラスチック類の使用は少ない。商店街こそ、消費の場とリサイクルを環境に優しく結びつける可能性がある。

 エコ・ステーションはその第一歩といえる。

 しかし、それだけで、商店街生き残りが出来るのか?大型店でも既にリサイクル対応は始めているし、そもそもお客さんは基本的には商品やサービスを買うために商店を訪れるはずである。店に置いてある商品・サービスは今のままで良いのだろうか?

 この点について、さつき通り商店街理事長は、「商店街の生き残り策の最大の課題はもちろん商品です。大型店やコンビニは確かに便利で、ものにもよるが安くて商品管理もされています。しかし、今のお客さんがそれだけには飽き足りなくなっているのも間違いないと思います。大手メーカーの定番商品だけでなく、地方の産物、自然食品、ある種の輸入品、今はまだ簡単に手に入りにくい高品質の商品など、本物の商品・安全性・サービスを取り入れ、満足していただける店づくりをすることが商店街生き残りの第一の課題だと思います。」

 じゃあ、大型店やコンビニでまだ扱っていない商品の仕入れルートを確立したり、場合によっては作るにはどうすれば良いのか?そこまで考えているのだろうか。

「そのために、やはり人的ネットワークが重要になります。エコ・ステーションの関係で地方の商店街とも交流ができましたが、かれらは、その地方ならではの定番商品をもっています。そのなかには、首都圏のお客さんが待ち望んでいる種類の商品もたくさんあります。これらを生かして店づくりをすることが、商店街生き残りのための一つの答えになるはずです。早稲田商店会で始めた「商店街ネットワーク」にさつき通り商店街も参加していますし、今は機会をうかがっているところです。」

 さつき通り商店街理事長の森秀夫さんは、1996年頃から環境問題に取り組み、いろいろな行動をしてきた。商店街の販売促進の小道具として環境問題を考えるのではなく、今の子供たちの将来のために環境問題に取り組みたい、との思いから行動してきた人である。

 商店街の中には空き店舗(商店が廃業・転出したあとに次の商店が入らず、歯抜け状態になる)が増えているものがある。そのためにスペースに余裕がある場合もある。このスペースは一面では効率の悪さである。しかし、その空きスペースを活用*して環境問題にとりくみ、同時にお客さんに来ていただき、ゴミを減らそうという1石3鳥の構想です。

 これは自分の置かれた環境、持っている資源、世の中の流れ(お客さん・環境問題)を自分なりに判断し、自分なりの対応策を構想する、という意味で立派な経営戦略ではないかと考えさせられた事例です。

*空きスペースと言ってもタダで使えるわけではなく、さつき通り商店街では月60000円の経費を負担している。

戸田市さつき通り商店街振興組合

理事長 森秀夫

有限会社 古河屋(こがや)

戸田市川岸2−5−5

電話 048-442-4754

現在、エコステーション事業は終了しました。



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