経営と開業の事例 #16 戸 田市商工会トップメニューに戻る
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売上高300万から13億への長い旅


この事例は、「戸田市商工会」ホームページでは初めて紹介するのですが、このホームページの前身である「経営向上委員会」で紹介したことがあります。一度目にした方がいらっしゃったら、ご勘弁下さい。「経営向上委員会」に紹介して、ここで紹介してない事例もいずれ全部持ってくる予定ですが、新年・新世紀なので、まず景気の良い事例を選びました。この企業は高度成長期に大きく成長したのですが、バブル期に本業以外投資せず、躓かなかったこと、バブル崩壊後は安くなった不動産を投資ではなく、純粋な経営資産として扱っています。また、不況時には人・従業員に投資をするという方針がポイントだと思います
 
私の家では父が印刷業を営んでいたが、私は家業を継がずに都市銀行に就職、そこで順調に過ごしていた。
 しかし、父親が病気になり、家も家業も放っては置けなくなったので、少々迷ったが後を継ぐことにした。それが経営者への第一歩だった。
 退職するに当たっては、上司が慰留してくれたが、「あんなちっぽけな赤字会社!」と言われたので、それがカチンと来た、という事もあった。
 家業を継ぐにあたり、父と約束をした。
 当時、父の給料は月5万円。これが世間相場だったが、それを10万払う。
 社員の給与も20%アップする。徹夜の仕事が多かったが、夜は9時までで終わらせる。
 家族の生活費は自分が払う。その代わり、役割分担として経営は100%俺に任せろ。 
 それがだめなら銀行に戻る。という約束だった。
 父は、きめ細かく仕事をする性質で、頭も良いが、全くの職人気質であった。借金をするのは嫌いで実際に金を借りることはなかった。
 しかし、当時は高度成長期である。インフレ基調だし、仕事の潜在ニーズは十分あるとにらんだので、銀行から借入をして機械を1台から2台に増やした。それで、人数は同じでも作業量は倍以上できるようになった。
 職人肌の父に仕込まれた従業員たちは良い仕事が出来た。給料が増えたので、自然と意欲的になっていった。
 自分は毎日営業に歩いて仕事を取って回った。売上は翌月から4倍に増えた。
 次にまた金を借りて納品用の車を購入した。このようにして、毎年利益を上げ、それを主に設備投資にあて、どんどんどんどん売上を増やしていった。
 しかし、借入金の額は父にも家族にも話さなかった。もともと職人気質の父はそういう数字は嫌いだった。
 利益は土地・建物・印刷設備に投資した。預金は必要以上にはしなかった。
 設備資金の借入は、途中からすべて中小企業金融公庫だけにした。会社の不動産はすべて根抵当に入れるが、その評価額以上にはいっさい借金をしないのをルールとした。
 成長を支えたのは、インフレ基調を読み、借入→資産購入→値上がり→それを担保に借り入れ→設備・土地・建物に投資、のサイクルを続けられた事、それを支えたのは銀行時代に養った財務管理の知識とそれを実践したことだ。
 多くの同業者が、良い仕事をしながら財務管理の失敗で去っていった。
 しかし、不況になってからは、担保価値が下がり、そのサイクルは続けられなくなった。
 かわりに、従業員に投資している。業界によっても違うが、不況時には営業力がものをいう。今まで難しかった新卒の優秀な大学生をここ数年は10人ずつ採用している。
 いろいろな社外研修会にドンドン出す。ただし報告はみっちりやらせる。
 また、不動産価格が下がったので、工場・施設の拡大をここ数年で行った。
 今は、売上が少なくても利益を出す工夫が一番重要だ。
 不況時には不況時のやり方がある。今、そういう手が打てるのは、バブル時に本業以外に投資しなかったこと、早い時期に下請け体質を脱却し、自力で仕事を取る営業力と技術力・商品力を養ってきたことの2点がポイントだ。
 自分は今、午前中は社内の仕事、午後は主に社外の人脈作りに使っている。
 社長の仕事は先を読むこと、業界の動向を知ることが大事だ。いろいろな会合にも参加し、情報を集めている。
 内部的には、どういう会社にしていく、会社をこうするというビジョンは一番大事だ。
 会社は社員のものなのだ。中小企業だと、会社は社長のものと思っている人が多いが、それではだめだ。しかし、それだけに社員の基盤は会社にあるわけだから、企業は社員の将来を保証できなくてはならない。
 私の理念の一つは、企業は永遠に存続出来なければならない、ということである。
 それには得意先のニーズを大事にして、仕事を確保しなければならないし、会社の仕事を通じて社会に貢献できなければならない。

 社員の規模=会社の仕事の規模

 なのだ。これを社長の気ままで変えることはできない。
 それだけに、まず、社長が公私混同をしないことだ。
 個人の家計は給料だけでまかなう。自分への歯止めがないと、良いときは調子に乗り、悪いときはあわてて、どうにもならない。みんなが努力して得た結果・利益を公平に分配しなければならない。
 生業・家内工業から企業に脱皮する以上、いろいろなものが必要になるが、うちの場合、毎年、毎期の事業計画を私自身が作成する。具体的な内容を記述し、それに従って社員が働く仕組みになっている。
 そういう計画は全部書面にして、マル秘事項を除き、関係筋に配布する。協力企業、取引銀行、得意先など。借入申し込みも全部計画的にやる。
 書面にすることによって、社内的には経営者の意志を隅々まで明確に伝えられる。意思表明になる。社外にも定期的に配布するので、何をやるにしても話が早くなる。
 ただし、3年くらい前から、ボトムアップ、今年はこれを入れましょう、という提案を社員に求めている。提案はある条件を満たせば極力採用している。
その、ある条件とは、その提案が会社の利益にどれだけ貢献するかという計算が成り立っているかどうかだ。単に自分の部署の効率が上がる、という程度ではだめだ。

2代目経営者にアドバイスするとすれば、オヤジとケンカしてもいいから自分のやり方でやれ、ということだ。自分が主役になって、それからの時間の方が長いんだから遠慮することはない。ただし、オヤジよりも勉強しなければならないし、常に目標を立て、それにチャレンジしなくてはならない。このへんでいいや、と、途中で満足してはいけない。

おかげ様でうちは自分が継いでから25期連続増収となっている。




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