経営と開業の事例 #4 戸 田市商工会トップメニューに戻る
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販売に悩む方へ・女性経営者の顧客満足

 経営者を志したのは、38歳。それまでは訪問販売で一家を支える"世帯主主婦"
 親の教育でガリ勉をしたおかげで、高校までの成績は優秀。しかし早く結婚し、主婦になったものの、夫の収入はふつうの家族を養えないものだった。
 そのため女性用アンダーウェア、ボディスーツの訪問販売の仕事をし、生活を支えた。
 最初は住宅を1軒ずつ回っての販売だ。しかし、女性が社会に出て、家は留守をすることが多い時代になったのには、すぐに気づいた。
 そこで銀行、役所などを中心に"女性のいる職場"をターゲットに訪問販売をした。こういう所に勤める女性の方がこの種のおしゃれには敏感だと判断したのだ。今では何でもないが、当時は同じねらいをする人は少なかったので、販売成績は上がった。
 しかし、東金市の郊外に大きなショッピングセンターができ、繁盛しているのを見て「この売り方も時代遅れになった」と感じた。郊外に大型店が出るようになったら、職場で買い物をする必要はない。車でどんどん買い物に行ってしまう。そろそろ訪問販売自体がむずかしいのではないか?
 これからはどんな仕事が良いか考えた。在庫が必要無い業種が良い。次に女性は年齢がいくつになっても美しくいたい。この2条件を考えると美容室が浮かんだ。
 しかし美容室を開業するにはまず、美容師免許と経験が必要だ。今の家族を養いながら美容師の勉強は出来ない。
 夫には、住宅ローンの月7万円だけ家に入れてくれればそれで良いと申し渡してあったが、その頃には、それすらも持って来なくなっていた。
 このままでは自分の収入もじり貧になりかねない。そうなると家族の生活が成り立たなくなる。
 もう、いいだろうと思った。20年間この夫にがまんをしたが、とうとう別れることに決めた。夫と家を捨てることにした。
 すぐに故郷に帰って美容師学校に通った。免許を取った。39才である。その1年間は子供(二人)も捨てた状態だった。
 免許を取ると、再び東京に戻り、子供を呼び寄せ、自分は美容室に勤務した。
 しかし、その美容室の店主とは考えが合わなかった。しかし3年はどんなことがあっても我慢すると決めていたので、3年間勤務した。
 次の店はまあまあだった。しかしそこも3年でやめ、6年間でノウハウも得られたので独立することにした。
 訪問販売時代に蓄えた資金300万と婦人福祉資金150万を借りて開業した。
 オープンのための工事中はできるだけ現場に照明をつけて工事を進め、"店が開業するよ"という演出をした。
 商売を始めて、銀行が来るようになったので、「3年間ウチの商売をみていてください。3年目に良いと思ったらお金を貸してください。次の店を出します」と言っておいた。
 一般に美容室は3年間は上り調子だが、5年目頃から頭打ちになる。
 その対策としては、単に内装を変えるというだけではだめだ。お金がかかる割に、お客さんへの働きかけは弱い。お客さんは店の内装を見に来るのではない。美容室というものは、店イコール人(店で働く人)の事だ。従業員を変える、自分が変わる、成長する、これらが必要だ。
 次の店を出し、成長を続けること、息子に1店舗任せて独立させる、成長させる、自分も新しい店で初心に帰る、という事を考えていた。
で、3年たって銀行に聞いたら、「貸してくれる」という。適当な物件も見つかった。
 計画どおりだった。世の中は平成大不況だが、訪問販売で会得したお客さんをつかむ商売には自信があった。
 今は2店舗目も順調に伸びている。



 お客さんとは精神的なつながりが大事だと思います。私の店がお客さんの心にかなりの部分をしめている必要があるんです。
 だから、お客さんには、この店に来ていただいたら、心地よくなっていただくのが、なにより大切です。売上・利益はその次です。勤めていた頃、近くに弁当屋さんができましたけど、その店主は「借金を返さなきゃ、もうけなくちゃ、売らなくちゃ」というのが顔に出ていました。お弁当の鮭の切り身が薄いんですよ。お客さんの身になって無いからつぶれるわ、とおもっていたら、やっぱりつぶれました。

 私は訪問販売をやっていましたから、お客さんが雨の日に傘さしてやって来てくれたりすると、ありがたくて涙が出そうになります。
 お客さんには自分がして欲しいと思うことをしてあげればいいと思います。私はそうしています。髪が痛んだお客さんが来ると、言われなくてもトリートメントしてあげちゃいます。そういうときはサービスです。お客さんには喜んでいただければいいんです。
 お客さんに喜んでいただければ、自分もうれしくなるし、楽しいじゃないですか。
 ウチにはお客さんがいろんなものを持ってきて下さるんですよ。お菓子や果物だけじゃなくて、絵とか、テレビとか、ご主人と一緒に来てアンテナまでつけてくれました。
 だから、お店を飾る絵は一枚も買いませんでした。
 お客様からものを頂いたときは、必ずお礼状を出します。さらに、付箋に何をいただいたと書いておいて、次に来て下さったときにお礼を言うのを忘れないようにしています。
 お礼を言って初めてその付箋を処分します。
 これは絶対に守らなければいけないんです。お客さんにいただいたご好意を忘れるなんて、絶対にだめです。
 時代の流れを読みとらなくてはついて行けません。訪問販売の時もそうでしたが...今なら、価格が大事ですね。だからこの店は安くしています。お客さんの求めるものが、今はそれですから。
 私は今、一人暮らしなので家に帰るとテレビを見るくらいしかないけど、店にいる内に、今日は何と何を見ようと決めて新聞に印をつけます。そしてそれ以外の番組は見ません。
 で、商売に関する勉強の本を読みます。(店の本棚に商業・経営の本があった。)
 時代の流れを読むこと、お客さんに喜んでもらうこと、この、お客さんに喜んでもらうことが商売の一番大事なことだと思います。

●感想

 中堅の某飲食店の社長に話を聞いたことがあるが、「ぼくはお客さんにありがとうと言いたくないんだ。お客さんからありがとうと言ってもらえるように努力している」 その社長もお客さんの立場に立って常にものを考える人である。
 そこで、仮説として、お客さんの立場に立つ店には、お客さんからの贈り物・おみやげが多い。これを"おみやげ返しの理論"と命名する?…おそまつな感想でしょうか?
 では、某コンサルタントの講演で聴いた言葉、「(ある種の商品は)自分より人格・レベルが上のお客様には、売ることはできません。店のスタッフが常に努力して自分を高めていないと、その店の売上は頭打ちになります」
もうひとつ。
 お客さんの立場に立つということは、つまり、相手の立場に立つ、ということで、これは人間の行動としてはかなり上等なものだろう。日夜、そのための努力をすれば、技術や知識だけではなく、人格も自然と磨かれるであろう。つまり、お客さんの立場に立つのが特にのぞましい小売業・サービス業(直接、相対しますから)というのは自分の人格を磨くという、大変すばらしい職業である、ということだ。…これは、聞いた話ではなくて、僕のオリジナル。でも、自分自身、人格を磨くところまで行けてないので、反省しております。(98.8)

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