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 トラブル・絶体絶命の危機に対処する(創業・経営上のトラブル)

1.方法は2つ。

 どんなに困った、追い詰められた状況になっても、対処する方法は最低2つあります。それは「やるか」「やらないか」の2つです。「やる」と決めて進めていけば、それによって周りの状況が変わります。新たな手を打つ事が出来るようになります。新たな手を打てば、また状況が変わります。「やらない」すなわち「辞める」「守る」に決めても同じです。やらない方向に進んで行動を起こせば、やはり状況が変わって新たな手を打つ事が出来ます。一番いけないのは、何もしないで様子を見る事です。自分が何もしなくても、周りの状況はどんどん動きます。

 ここまで説明すると、「つまり、決断が大事なのね」と、カンタンに言う人がいますが、少し違います。決断するだけでなく、決断に基づいて「次の一手」を打ち、それによって起こる変化を読み、次に進む方向を探る、この連続作業をしなければなりません。決断は一度だけでなく、次々にする事になるかも知れません。

 何もせずにほうっておく(様子を見る、と表現する人もいますが、同じことです)と、状況がさらに悪くなってから対処する事になります。自分で決めた場合は、次に予想されることに対して計画や準備ができます。準備をしてから戦う方が攻撃でも守りでも有利です。ありふれた表現をすれば「先手必勝」です。先に決めて準備したほうが優位に立ちます。自分で決めて、先に行動する。これを危機突破の第一原則として「自分から仕掛ける原則」と命名します。これは危機に直面していない日常でも自分を有利な位置に置くことができます。打つ手が増える、準備の時間を作れる、相手より有利な位置につけるという、3つの効果があります。 

 余談ですが、何かの期限を決めるときに、先に言う人のほうがたぶん優れてますね。

2.結末も2つに分類できる

 危機に陥った結果、行き着く「結末」を考えてみましょう。大きく分けて2つあります。ひとつは、危機を全部克服する、というハッピーエンド。もうひとつは、解決できずに終わってしまう悪いほうの結末。実際にはこの2つの間のどこか、です。経営者にとって最悪のケースは倒産でしょうが、その場合でも取引先への迷惑を最小にして自己破産手続・債務免除を受け、再起の可能性を残しておく、というラインが望ましいでしょう。
 そのためには、従業員の給料分と弁護士費用は現金でいくら残しておく、世話になった取引先への支払金もいくら残しておく、という計算・計画が必要です。これのめどを普段から立てておけばいざというとき危機突破に集中できます。
 人間にとっていちばん恐ろしいのは、「わからないこと」だといいます。ゴールの最低ラインを決めておけば、どこま落ちるかわからないという恐怖と戦う事ができます。恐怖は判断や知恵を妨げます。周りにも悪影響を及ぼします。最終ゴールを想定して恐怖を克服(少なくとも緩和)し、自分の判断力・知力を健全な状態に保つことは大事です。これを「未知の恐怖を克服する原則」と命名します。
 ある社長さんから聞いた話です。若い頃、会社を経営していて、どうにも行き詰まってしまいました。もう自分には経営者としての能力がないと思い、頼りになる先輩に経営を任せることにしました。その人がやってきて、会社の内容を調べることから始めました。その人が会社に来てくれただけで気が楽になりました。で、気持ちよく仕事が出来るようになり、売上が上向きました!..日数が経過し、その先輩が言いました「こんなにひどい状況だとは思わなかった、これではとてもやっていけない」。そう言って帰っていきました。しかし、会社は良くなってきたと思ったので、自分はそのまま経営を続けました。「だんだんだんだん良くなって、今のようになったんですよ。あきらめたら良くなっちゃった。本当はこんな事は無いんでしょうけど。えへへへへ。」 

3.文字の力を使う

 危機を克服するための計画は文字で書く事が必要です。書くことによって自分の考えも整理され、頭で考えていたときには気づかなかった不足やアイディアが見つかります。
 考えているだけでは、その内容は本人以外には、わかりません。従業員も、取引先も、銀行も、その他多くの関係者も「あの社長は大変な状況なのに、どうするつもりなんだろう?」と疑問に思い、「わからない」事から不安を感じるでしょう。
 口頭では、全部言い終わらないうちに時間切れ、という事もあります。心配事を持っている人は、心配なこと、その人にとってのマイナス要素を先にしゃべってしまいがちで、印象が悪くなります。対策をしゃべるつもりでいても、相手はマイナス要素を先に聞いて、先入観が入ってしまいます。文書にしておけば、相手は時間のあるときにそれを全部読むことができます。
 文字にした計画書は、あなたの味方になってくれた銀行の担当者、取引先の担当者にとっても、材料になります。「あの社長は対策をよく考えています。こういう計画書を作っていたので預かってきました」と上司に提出するでしょう。計画書を自分で作ることは危機脱出には不可欠です。これを「文字にする原則」と呼びます。
 ある経営指導員が駆け出しの頃です。ある制度融資の申し込みを受けました。会社は、設備の支払手形が多く苦しい状態でした。審査会に上げましたが、誰もうんと言いません。審査委員長が「なぜこんな内容の企業を取り上げるんだ」と聞きました。その経営指導員は「申し込み資格はあります。また、こういう計画書を作っていました」といって計画書(便箋にその社長が手書きしたものと、手形・借入金の返済予定を手書きで一覧にした表の2種類)を見せたところ、「それを読め」といわれ、便箋のほうを朗読しました。審査委員は皆、黙ってそれを聞いていましたが、読み終わると雰囲気が一変していました。その社長の事業への熱意と事態打開への方法が熱く語られていたからです。委員のひとりが言いました「そういう事なら、いいんじゃないでしょうか」委員になっている銀行代表も言いました。「話を聞いてみると、借入の理由もわかりました。」彼は、予期しない効果に驚きました。その会社は借入が出来ました。その後も何度も危機に見舞われましたが、現在、借地の工場を自社物件にしようとするところまで発展しています。
 計画書は正しく作ってうまく利用すれば大きな効果があります。しかし、単に借入を成功させたいだけで作った計画書、他人に作ってもらったもの、ひな形をまねしただけのもの等はちがいます。
 社長自身がが本気で危機の打開もしくは自社の発展のために頭を絞り、いろんな事態を想定して作った計画書が一番です。
 社長には計画書を作るための時間と、気持ちの余裕が必要ですが、そのためにも「自分から仕掛ける原則」を適用して時間をつくり、「未知の恐怖を克服する原則」を適用して自分の気持ちを健全な状態にしておくと良いのです。
 なお、「本物の計画書」を作るには、テクニックを学ぶよりも、普段の仕事をしながら常にその仕事のための文字を作る習慣が大事です。書いた文字(計画書でも指示書でも良いが、特に目標数値を明示する)が実際の仕事に役立った、役立たなかった、今度はそれを教訓にして次の計画書を作った。これをくりかえせば、仕事をしながら計画書づくりができるようになり、仕事もはかどります。普段からこれをやらずに、危機に直面した時に初めて計画書を作ろうとしても難しいでしょう。普段の心がけが大事です。

 

まとめ
絶体絶命の危機に直面したら



 当面の問題を「やるか、やらない(やめる)か」に分解して考え、出来るだけ早く決め、相手より先に行動する。「自分から仕掛ける原則」。決めたら、今後の計画は書面にする。「文字にする原則」

 最高の結果と最低の結果がどうなるかを考え、可能な最低ラインを確認し、覚悟を決める。「未知の恐怖を克服する原則」

 危機に陥ってから初めて努力しても、うまく乗り切れるかどうかはむずかしいところ。普段の努力と準備が大事。「経営で一番大事なのは準備だ」と言った経営者もいます。

(2005/3 2011/3)



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